こんばんは、猫田です。
“ハードセルツァー(Hard Seltzer)”
この言葉をご存知でない方も多いのではないでしょうか。
ハードセルツァーは2018年頃からアメリカの若者の間で大流行し、世界中で人気の「お酒のジャンル」です。
2022年現在日本で大きな動きを見せ始めている、今注目のお酒でもあります。
そこでこの記事では、ハードセルツァーとは何かから日本でのハードセルツァーの動向まで解説します!
・ハードセルツァーとは何か
・ハードセルツァーはなぜ海外で人気なのか
・日本でどんなハードセルツァーが売っているのか
・日本のハードセルツァーはどうなるのか
について徹底解説します!
・某ビール会社で3年間、生産管理の業務に携わっていました。
・趣味はお酒を飲むこと、バー巡り、カクテルづくり。
・特に好きなお酒はジンです。
・お酒の情報に特化したブログ「猫田の酒ブログ」を運営しています。
ハードセルツァーとは
まず初めに、
Hard Seltzer(ハードセルツァー)の厳密な定義はありません。
ただし、ハードセルツァーを一言で表すなら
「アルコール入りのフレーバー炭酸水」
です。
フレーバーのついた炭酸水は既に色んな製品があるかと思いますが、それのお酒版というイメージを持っていただければと思います。
北米発のRTD※として世界中で今人気のお酒のジャンルになっています。
※RTD: Ready To Drinkの略(蓋を開けてすぐ飲める飲料を指します)
なんかかっこいい名前になっていますが、
Hard:アルコール飲料
Seltzer:炭酸水
という意味でつけられています。
では、「チューハイと何が違うの?」
そんな疑問にお答えします。
チューハイとの違い
先に述べた通り、ハードセルツァーには厳密な定義はありません。
したがって、チューハイとの厳密な違いも厳密にはないといえます。
正直、この差別化がうまくいくかどうかに日本でのハードセルツァー市場の未来がかかっていると言っても過言ではありません。
ただし、ハードセルツァー製品には以下の特徴がみられ、これらの特徴がチューハイと区別するポイントになってきます。
・アルコール度数低め(2%~5%程度)
・フレーバー炭酸水のような甘さ控えめの味わい
・サトウキビ由来の糖分から造られたアルコールをベースとする
(チューハイはウォッカや焼酎といった蒸留酒をベースにすることが主流)
ただし、これらの特徴は「ハードセルツァーにそういう製品が多い」ということに過ぎません。
たまに「発酵で生み出されたアルコールを使用しているのが違い」という解説も見られますが、それは正しくありません。チューハイのベースとなるウォッカや焼酎も、そのアルコールは発酵により生み出されています。
日本でも多くの企業がハードセルツァー市場に参入してきていますので、その中でどう扱われていくのかを見守りたいと思います。
ハードセルツァーの人気の理由
ハードセルツァーは2018年頃から、20~30代がメインターゲットに世界中でブームを巻き起こしています。
アメリカ西海岸で特に人気で、カリフォルニア州では2019年には前年比500%を超える売り上げの増加をマークしています。
2020年から2025年の世界市場は平均26%の成長が予測されています。
そんなハードセルツァーはなぜ人気なのでしょうか。
人気の理由は多数ありますが、最も大きな理由としてあげられる2つの理由を解説します!
人気の理由1)ヘルシーであること
ハードセルツァーは甘さ控えめの炭酸水のような味わいであり、かつ、低アルコールのお酒です。
そして糖分、アルコールにはそれぞれカロリーがあります。
…ということはつまり、低カロリーで健康的なのです。
世界的な健康志向の高まりもあり、ハードセルツァーは低カロリーなため罪悪感なく気軽に飲めるお酒として人気が集まっているのです。
また、それに伴うすっきりとした味わいも人気の理由といえるでしょう。
人気の理由2)おしゃれなデザイン
ハードセルツァーの多くは細長いスリムな缶を採用しており、デザインもシンプルで洗練されたものになっています。
この洗練された見た目は間違いなく人気の理由でしょう。
インスタグラムなどで多く発信されているのを見かけます。
今は一人一人が発信する時代ですので、「他の人に見せたくなるか」という点は非常に重要になっており、ハードセルツァーの人気はその傾向を表しているといえるでしょう。
その他にも、アメリカの一部の州の法律で、お酒の種類によってはリカーショップでしか販売できないものがある一方で、ハードセルツァーはスーパーやコンビニで販売可能である、といったことも人気を得た理由としてあげられるでしょう。
日本のハードセルツァーを紹介
海外で大流行しているハードセルツァーですが、日本では今伸びているRTD市場の中で「高アルコール」「レモンサワー」に続く存在になるかが注目されています。
2021年に日本でハードセルツァー市場が誕生し、2022年に入りアサヒやキリンも参入する動きを見せており、今後の成長が期待されています。
この記事では、日本で販売している(していた)ハードセルツァーを紹介します。
また地域限定で販売している製品もあり、「どこで売っているか」についても記載していますので参考にしてください。
トポチコ(Topo Chico Hard Seltzer)
コカ・コーラが世界に向けて販売しているハードセルツァー。
日本では2021年9月から関西エリア限定で販売しています。
細長いスリムな缶にシンプルなデザイン。
チューハイに多い果実のイラストなどがない洗練されたデザインになっています。
アルコールはハードセルツァーにしては高めの5%です。
100mlあたり31kcalと、チューハイの多くが50kcal前後なのに対して低くなっています。
ラインナップは、「アサイーグレープ」「タンジーレモンライム」「パイナップルツイスト」の3種類。
<発売スケジュール>
2021年7月15日 大阪のミナミエリア限定発売
2021年9月20日 関西エリア限定発売※
※大阪府、京都府、兵庫県、奈良県
アサヒ FRUITZER(フルーツァー)
アサヒビール株式会社がつくる日本のハードセルツァー。
2022年4月から一部地域で発売予定です。
公表されているデザインでは、メタリックなシルバーをベースにしたユニセックスなデザインになっています。
ハードセルツァーらしいスリムな缶を採用していますが、これはアサヒビールとして初の試みとのことで、設備の新設をするなど本気度がうかがえます。
人口甘味料を使用せず、果汁由来の自然な味わいを実現しているとのことです。
アルコール度数は気軽に飲める4%。
ラインナップは「レモン&ライム」「ピンクグレープフルーツ」の2種類になっています。
<発売スケジュール>
2022年4月5日 首都圏・関信越エリア限定発売※
2022年7月5日 全国発売
※東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、山梨県、栃木県、群馬県、茨城県、新潟県、長野県
スミノフ セルツァー
キリンビールが発売する、スミノフブランドのハードセルツァー。
日本全国で販売しています。
ハードセルツァーらしいスリムな缶を採用。
白ベースの缶に描かれている果実のイラストは、イラスト感を強めており既存のチューハイとの違いを演出しているように見えます。
アルコール度数は気軽に飲める4%。
ラインナップは「オレンジ&グレープフルーツ」「ホワイトピーチ」の2種類。
<発売スケジュール>
2022年3月22日 全国発売
サッポロ WATER SOUR
炭酸水感覚で飲める甘くない低アルコールサワー。
ただし、“ハードセルツァー”の記載はありません。
アルコールは低めの3%。
カロリーも100mlあたり19kcalとかなり抑えめです。
ラインナップは「レモン」「オレンジ」の2種類になっています。
ハードセルツァーと名乗っておらず普通のチューハイと変わらないサイズの缶でありますが、スタイリッシュなデザインを意識しているようです。
既存の商品棚の高さに合わないリスクがあり、従来からある売れ筋商品の近くに置くには一般的な缶と同形状であることが必要として一般的なサイズの缶を選択したとのことです。
<発売スケジュール>
2021年8月 全国発売
DOSEE(ドゥーシー)
オリオンビールが販売する日本発のハードセルツァー。
沖縄の方言「どぅし」(友達)からとられた名前がつけられています。
糖類ゼロでアルコール度数は低めの2%。
スリムな缶を採用しています。
ラインナップは期間限定も含めると「シークヮーサー」「グレープフルーツ」「アセロラ」「パイナップル」の4種類。
残念ながら2022年2月には販売を終了することを発表しています。
いち早くハードセルツァーを市場に投入しましたが、高めの価格設定などが影響し県民に浸透しなかったとのことです。
<発売スケジュール>
2021年3月23日 発売
2022年2月 販売終了
日本のハードセルツァー市場はどうなるのか?
日本のハードセルツァー市場の動き
日本でのハードセルツァー市場の動きをまとめると以下のようになります。
(2022年3月現在の情報です。)
2021年3月 オリオンビール先駆けて「DOSEE」を発売
→ただし2022年には終売
2021年7月 コカ・コーラが海外で人気の「Topo Chico」を発売
→関西エリア限定で販売中
2021年8月 サッポロビールが「サッポロWATER SOUR」を発売
(ただしハードセルツァーとしてアピールはせず)
2022年3月 キリンビールが「スミノフ セルツァー」を発売
(全国販売)
2022年4月 アサヒビールが「アサヒ FRUITZER」を発売予定
(まずは関東・関信越エリアでの限定販売)
サントリーにはまだ動きはありません。
2022年に入って酒類メーカー大手のアサヒ・キリンがこぞってハードセルツァー市場に参入することにより、少なからず市場が動くことが予想されます。
日本のハードセルツァー市場の課題
やはりどうしてもチューハイと競合してしまうことは避けられません。
チューハイで低カロリー・低アルコールのものもあり、どのように差別化していくかが課題になりそうです。
ハードセルツァーが海外で人気の理由は「ヘルシーであること」「おしゃれなデザイン」といったものでした。
健康志向だけでは他の製品との差別化ができないと思われますので、ハードセルツァーを飲むこと自体がファッションとなるかどうかにかかっているでしょう。
そんな状況の中、日本で販売(予定)されているハードセルツァーをみて猫田が思うのは
「日本企業はどうしても果実のイラストを載せたいのか…」
ということですね。
細長いスリムな缶にしてはいるものの、トポチコを除いた製品ではどれも果実のイラストを載せており、缶チューハイとの差別化があまりできていないようにも見えます。
結局おしゃれな缶チューハイとして消費されてしまうことも十分ありえるとみています。
まとめ
ハードセルツァーとは
「アルコール入りのフレーバー炭酸水」
ハードセルツァーが人気の理由は
・ヘルシーである
・おしゃれなデザイン
日本でのハードセルツァー市場は
2021年から始まり、2022年にアサヒ・キリンが参入することで大きな動きがありそうです!
こちらは以前からブームを起こしているジンについての記事です。