こんばんは。
リキュールをインテリアとして飾りたい、猫田です。
突然ですが、「リキュールとは何か」という問いに自信をもって答えられますか?
お酒の席などで言葉として聞くことはあっても、皆さんなんとなく使ってしまっているということもあると思います。
また、缶ビールを飲んでいるときに「リキュール」という表記を見て不思議に思った方も少なからずいるかと思います。
この記事では、
・法律上のリキュールの定義
・リキュールの語源
・幅広いリキュールの種類
・ビール系飲料なのにリキュールとして表記される理由
についてわかりやすく解説していきます。
幅広くて奥深いお酒「リキュール」のことを正しく知ってもらえれば幸いです。
リキュールの定義
リキュールの定義
リキュールの定義は、
“蒸留酒を原料にして、果実や薬草、香辛料、甘味料、香料などの成分を加えたお酒”
です。
または、“混成酒のうち蒸留酒ベースであるもの”とも言えます。
※混成酒のうち醸造酒ベースであるものには、ベルモットやサングリアなどがあります。
詳しい種類は後から解説しますが、オレンジの皮で香りをつけた「キュラソー」や、カルーアミルクでおなじみの「コーヒーリキュール」など様々なリキュールがあります。
酒税法でのリキュールの定義
では、法律上の定義はどのようになっているのでしょうか。
酒税法の第三条で用語の定義がされています。
混成酒とリキュールそれぞれについてみていきましょう。
まずは、「混成酒」の定義から。
酒税法第三条(その他の用語の定義)
酒税法第三条第6号
第6号<混成酒類>
次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。
イ 合成酒類
ロ みりん
ハ 甘味果実酒
ニ リキュール
ホ 粉末酒
へ 雑酒
混成酒は複数種類のお酒の総称ですので、定義は簡素です。
では、次に「リキュール」の定義について。
酒税法第3条(その他の用語の定義)
酒税法第三条第21号
第21号<リキュール>
酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの(第7号から-中略-を除く。)をいう。
この定義から、お酒に糖など(酒類も含む)を加えたものをリキュールと定義していることが分かります。
つまり、エキス分2度以上という条件はありますが、
酒類+糖類=リキュール
酒類+酒類=リキュール
ということですね。
そのため、お酒に別のお酒を加えると、日本では「リキュール」という括りになるということです。後程詳しく解説しますが、ビールにスピリッツを加えた「新ジャンル」と呼ばれるビール系飲料も「リキュール」に分類される…ということになります。
ちなみに「エキス分」とは、グルコースなどの糖類が大部分を占める不揮発性成分を指し、「温度15度において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数」をエキス分とすると厳密に定められています。
酒税法において、アルコールやエキスなどを測定するときに温度15℃であることがスタンダードです。
リキュールの語源
ラテン語の「リケファケレ(Liquefacere)」が語源とされており、「溶け込ませる」という意味を持つ言葉です。
リキュールの原型がつくられたのは13世紀初頭で、スピリッツに薬草の成分を溶け込ませることで薬酒として効果を高めることを目的に、薬草をはじめ様々な果実やスパイスをスピリッツに抽出させるようになったとされています。
リキュールの種類
リキュールは使用する主原料によって、大きく4つに分類されます。
果実系
オレンジ、バナナ、レモンなどフルーツの果肉や果皮、果汁を使用したリキュール。
代表的なリキュール)キュラソー
代表的な原料)オレンジ、レモン、チェリー、アプリコット、バナナ、ココナッツ
薬草・香草系
薬草や香草、スパイスを使用したリキュール。クセのある独特な風味を持つものが多い。
代表的なリキュール)シャルトリューズ、ベネディクティン
代表的な原料)カンパリ、ドランブイ、ペパーミント
ナッツ・種子系
木の実や果実の種子、豆類などから造られるリキュール。香ばしい香りが特徴。
代表的なリキュール)アマレット、カカオ
代表的な原料)マカダミアナッツ、クルミ、コーヒー、カカオ
その他
クリームや卵などを使用した比較的新しいリキュール。
代表的なリキュール)アドヴォカート、チョコレートリキュール
代表的な原料)チョコレート、卵、牛乳、ヨーグルト
ここに挙げたのはあくまでも代表的なものであり、これ以外のリキュールも存在し、現在でも新たに開発され続けています。
さて少し余談。
リキュールの銘柄を見てみると「クレーム・ド・〇〇」という名前を目にすることが多いかと思います。
これは、銘柄の名前ではありません。
EUでは、リキュールを「糖分が1Lあたり100g以上含まれているアルコール飲料」と定義されているのですが、中でも250g以上含まれているものに限り「クレーム・ド(crème de)」という名称を原料名の前につけてよい、とされているのです。
…ビールなのにリキュール!?
さて、ここまでリキュールの定義と酒類について解説しました。
ここで、一部の方は、「缶ビールにリキュールって書かれているのを見たことあるけど…?」という疑問を持ったかもしれません。
その通りです。
気のせいではなく、実際に「リキュール」と記載されているビール系飲料が存在します。
その理由を以下に解説していきます。
日本においてビール系飲料には、「ビール」「発泡酒」「第3のビール(新ジャンル)」の3種類があります。
それぞれの定義や違いについては解説すると非常に長くなってしまいますので、別の記事で紹介します。
この3種類のうち「第3のビール(新ジャンル)」は、酒税法上はさらに二つに分けられます。
(1) 麦・麦芽以外の穀物を原料とする
(2) 発泡酒に別のアルコール飲料(スピリッツなど)を加える
(1)は「その他の醸造酒(発泡性)①」に分類されます。
(2)は「リキュール(発泡性)①」に分類されます。
(2)は冒頭に解説したリキュールの定義の一つ「酒類+酒類=リキュール」にも矛盾しない条件になっています。
…これが一部のビール系飲料が「リキュール」と表示されている理由です。
まとめ
リキュールとは、
“蒸留酒を原料にして、○○を加えたお酒”
○○には…
「果実」「薬草・香草」「ナッツ・種子」「甘味料」「他の酒類」
が入ります。
「リキュール」と表記されているビール系飲料は…
発泡酒にアルコール飲料を加えた第3のビール(新ジャンル)
リキュールは幅広すぎる…