【ブランデーとは…】ブランデーの定義・原料・製造方法・代表銘柄を解説!

こんばんは。猫田です。

お洒落なお酒・高級なお酒のイメージが強いブランデー。

名前は聞いたことがあっても…
「ブランデーと何か」
「ブランデーにどんな種類があるのか」
「コニャックとどういう関係か…」
といった疑問に答えられるでしょうか。

この記事では、意外と正体が知られていない「ブランデー」について
・ブランデーの定義
・ブランデーの原料
・ブランデーの製造方法
・ブランデーの主な種類

を解説していきます!

ブランデーとは…

ブランデーの定義

ブランデーの定義は、
“果実酒からつくった蒸留酒”
です。

原料となる「果実酒」は様々なものが用いられますが、白ブドウを原料にしたワインが主に用いられます。
その他には洋梨やリンゴ、サクランボなどを原料にした果実酒も用いられることが多くなっています。

ブランデー(brandy)の語源は、ノルウェー語のbrandeviin(焼いたワインの意味)から、オランダ語のbrandewijn(「焼いたワイン」の意味)、英語のbrandy-wineを経て、現在のbrandyとなったとされています。

さて、日本の法律ではどのように規定されているのでしょうか。
酒税法第3条第16号にブランデーの定義があります。

要約すると…
“果実を原料にした蒸留酒”
がブランデーの定義と言えます。(冒頭に紹介した定義と同じですね。)

原文は以下の通りとなっています。

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十六 ブランデー
次に掲げる酒類(イに掲げるものについては、第9号ロからニまでにかかげるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸溜の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)
ロ イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る。)

酒税法第3条第16号

細かく規定されていますが、基本的には先に説明した”果実を原料にした蒸留酒”という認識で問題ありません。

ブランデーとウイスキーの違い

勘違いされやすいお酒として「ウイスキー」があります。
ウイスキーの一種がブランデー、という勘違いもされることがありますが、両者は見た目こそ似ているものの全く異なるお酒です。

ウイスキーは、穀物(麦芽やトウモロコシなど)を原料にした蒸留酒
ブランデーは、果実(ブドウやリンゴなど)を原料にした蒸留酒

いずれも蒸溜酒であり、熟成させるという共通点はありますが、原料が異なるお酒となっています。

ブランデーの飲み方

飲み方はストレートでゆっくりと飲むのが一般的です。

グラスの底を手で包むように持って回すスタイルが印象的ですが、これは体温で温めることで香りを立たせるために行う所作。
他の多くのお酒とは異なり、オンザロックなど冷やして飲むのは推奨されていません。

一方、ブランデーをベースにしたカクテルも多く存在します。
ブランデーにホワイトキュラソーとレモンジュースを混ぜたショートカクテル「サイドカー」や、カカオリキュールと生クリームを加えた「アレキサンダー」などが有名です。
ブランデー自体、果実の香味がしっかりしていて濃厚なため、芳醇でフルーティーなカクテルが多くなっています。

ブランデーの原料

フルーツ

ブランデーの原料は果実です。

白ブドウを使用する“グレープブランデー”が主流であり、ワインに用いられるぶどうより、糖分が少なく、酸味が強いものが使用される傾向にあります。

ぶどう以外のフルーツを使用する“フルーツブランデー”では、リンゴやさくらんぼ、洋梨など様々な果実が用いられます。

ブランデーの製造方法

醸造設備

ブランデーの製造工程は大きく5つの工程に分かれます。
「発酵」→「蒸溜」→「熟成」→「ブレンド」→「ボトリング」

各工程について以下で説明していきます。

1. 発酵

原料となる果実から果汁を抽出し、酵母を加えて適正な温度で管理します。
そうすることで、果汁に含まれる糖分を酵母が取り込み、アルコール発酵によりアルコールと炭酸ガスを生成します。
この工程後には、アルコール度数10%前後の醸造酒(ブドウを原料にしていればワイン)が出来上がります。

2. 蒸溜

発酵工程で出来上がった果実の醸造酒を蒸留器に入れて加熱することで、蒸溜を行います。
この蒸溜はアルコールと水の沸点の違いを利用してアルコール分を抽出する方法であり、蒸溜工程後にはアルコール度数70~80%程度の原酒となります。

3. 熟成

蒸留後の原酒は木製の樽に入れられ、適正な温度で長期間保管します。
そうすることで味に丸みが出て、色も琥珀色へと変化します。
熟成期間は数年~数十年と様々であり、期間が長いほど熟成による特徴が出ますが、熟成期間中に蒸散により原酒が減ってしまうということもあり、熟成期間が長くなるにつれて価格は高くなっていきます。

4. ブレンド

複数の樽で様々な期間熟成したブランデー原酒を、香味特徴を揃えるために混ぜ合わせていく工程です。
このブレンド条件により、VSOPやXOなどの分類が決まります。
この違いについては後程解説します。

5. ボトリング

調合後のブランデーを出荷するためボトルに詰めていきます。

以上がブランデーの製造工程の概要です。
ブランデーの種類によって工程の細部は異なりますのでご承知おきください。

ブランデーの種類

ブランデー

ブランデーの原料による分類

ブランデーは使用する原料により「グレープブランデー」と「フルーツブランデー」の2種類に大別されます。

・グレープブランデー

白ぶどうを原料に造られるブランデー。
世界三大ブランデーのうち、コニャック、アルマニャックの二種類はこちらのグレープブランデーに分類されます。

コニャック:
フランスのコニャック地方の限られた地域でのみ製造されるブランデー。
製造方法などに厳しい条件があり、それをクリアしたもののみがコニャックを名乗ることができます。
雑味がなくスムースな味わいが特徴です。

アルマニャック:
フランスのボルドー地方南部のアルマニャック地方で製造されるブランデー。
コニャック同様に厳しい条件をクリアしたもののみがアルマニャックを名乗ることができます。
重厚感のある味わいが特徴です。

・フルーツブランデー

ぶどう以外の果実を使用したブランデー。
世界三大ブランデーの一つカルヴァドスは、リンゴを原料にしたフルーツブランデーです。

カルヴァドス:
フランス北西部のノルマンディー地方で製造されるブランデー。
製造方法などに厳しい条件があり、それを満たしたもののみがカルヴァドスを名乗ることができます。
フルーティーな香りが特徴で比較的飲みやすい味わいのものが多くなっています。

ブランデーの熟成期間による分類

ブランデーは熟成期間により、等級が付けられています。

熟成年数は「コント(Compte)」という単位で定められており、1年ごとにコント数が1増えていきます。
基準となるのは4月1日で、蒸溜して熟成開始してから初めての4/1にコント0、次の4/1にコント1…と繰り上がっていきます。
コント3の原酒であれば、丸3年以上の熟成を行い4年目の熟成に入っている原酒ということになります。

なお、ブランデーは複数の原酒をブレンドして造られますが、使用する原酒のうち最も熟成期間が短いものがその製品の熟成期間の基準となるため注意が必要です。

等級は次のように分けられています。

コニャックやアルマニャックではそれぞれ異なる基準が設けられているので、その違いについては表をご覧ください。

以下では目にすることの多い等級の概要について記載します。

V.S.O.P.:コント4以上
ナポレオン:コント5~6以上
X.O.:コント5~10以上
※いずれも各原酒の平均熟成年数の定めあり。

ブランデーの代表銘柄

”世界三大ブランデー”と呼ばれる、コニャック(グレープブランデー)、アルマニャック(グレープブランデー)、カルヴァドス(フルーツブランデー)の代表銘柄をブランドごとに紹介します。

コニャックの代表銘柄

・ヘネシー

コニャックの代表的存在である「ヘネシー」は、日本国内でも高い知名度を誇る最高品質のコニャックです。
豊潤な香りと深いコクが感じられる王道のコニャックに仕上がっています。
V.S. やX.O.、V.S.O.Pなど等級により価格の幅もとても広いためお財布と相談して選んでみてはいかがでしょうか。

・マーテル

マーテルは1715年から約300年世界中で愛されてきたブランドで、ナポレオン御用達のメゾンとされていたことでも有名です。
フルーティーな味わいと飲みやすいなめらかな口当たりが特徴のコニャックです。
特にX.O.はボトルデザインも存在感があり、プレゼントに最適なコニャックになっています。

・カミュ

1863年創業以来、カミュー一族の5世代にわたり築きあげられてきたブランドです。
芳醇な香りと豊かな甘味のある個性的な味わいが特徴のコニャックです。
他のブランドと比べ銘柄ごとに味わいが異なり、様々なスタイルを楽しむことができます。

アルマニャックの代表銘柄

・ジェラス

1865年設立以来、同族経営をしているメーカーであり、設立以来の古酒を保有している数少ないメーカーでもあります。
重厚感がありながらもフルーティーな香りが特徴。

・シャボー

海軍元帥の名前の由来となっている銘柄。
ハート形の可愛いボトルも印象的で、プレゼントにもおススメの銘柄です。

カルヴァドスの代表銘柄

・ブラー グランソラージュ

アップルブランデーを代表する銘柄です。
熟成年数は2~5年と長くなく、リンゴのフレッシュな味わいを楽しむことができます。

まとめ

ブランデーとは”果実を原料にした蒸留酒”。

白ぶどうを原料にしたグレープブランデーが主流。
リンゴなど他の果実を用いるフルーツブランデーもあります。

高級なお酒として有名な「コニャック」は、フランスのコニャック地方で造られるグレープブランデーであり、その他にも「アルマニャック」や「カルヴァドス」などの種類があります。