【ラムとは…】ラムの定義・原料・製造方法・種類・代表銘柄を一挙解説!

こんばんは。
冷凍庫はお酒を入れる場所、猫田です。

ラムは有名なお酒である一方、日本ではあまり飲む機会がないお酒であるとも言えます。

ラムが何からできているのか、どのように製造されているのか、どんな種類があるのか、
説明できますか?

実は人気の「あのカクテル」に使われており、知らず知らずのうちに飲んでいる方も多いですよ。

この記事では四大スピリッツの一つ「ラム」について
・定義
・原料
・製造方法
・種類

について解説していきます。

ラムとは…

ラムとは、
“サトウキビから造る甘い味わいが特徴の蒸留酒”
です。

甘味が特徴的なお酒ですよね。

ラム酒は17世紀にカリブ海の島で生まれたお酒です。
(諸説あり)
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」で海賊たちが好んで飲んでいたのが印象的ですね。

さて、冒頭に記載したラムを使った「あのカクテル」について、早速紹介してしまいます。

そのカクテルとはずばり、モヒートです。

「モヒートは飲んだことがあるけどラムを飲んでいるつもりはなかった」
という方いらっしゃると思います。

モヒートのレシピは以下の通りです。

・ラム(ホワイトorゴールド)………45ml
・ライム…………………………………………1/2個
・シュガーシロップ ………………………1 tsp
・ミント…………………………………………適量
氷を入れたグラスにライムを絞って入れ、ミントと砂糖を入れて軽くつぶします。
その後にラムを注いで軽くステアすれば完成です。

こちらの記事で、ラムを含め四大スピリッツをベースにしたカクテルを紹介しています。

ちなみに…
日本語で「ラム」と表記すると、ジンギスカンで使われるお肉と紛らわしいですよね。

ラム(仔羊の肉)は「lamb」
ラム(スピリッツ)は「rum」

と、英語で表記すると明らかに違います。

日本人が苦手な、LとRの発音のですね…
猫田はうまく発音できません。

ラムの原料

サトウキビ畑

ラムの原料は、「サトウキビ」です。

「サトウキビ」は、「テンサイ(ビート)」と並んで、砂糖の原料として用いられる農作物です。

ラムの製造には、その硬い茎に含まれる”糖分”を使います。
お酒の製造に用いられる多くの穀物は「デンプン」として栄養を蓄えているため、酵母がアルコール発酵に使用できる糖にするため、糖化工程(デンプンを糖に分解する)が必要です。

しかし、サトウキビの場合は「糖」の状態で蓄えているため糖化工程が不要である、という特徴があります。

ちなみに、サトウキビを絞ってジュースを抽出するのですが、そこに含まれる糖分をすべて使用するわけではありません。

ラムの原料として使用されるのは、基本的にサトウキビジュースに含まれる「結晶化しない糖」(糖蜜と呼ばれます)です。

逆に結晶化する糖は「砂糖」になります。

「基本的に」と記載した理由については後程解説します。

したがって、ラムの原料は
“サトウキビから抽出された結晶化されない糖”
であり、その他は他のお酒同様に
”水”
”酵母”

が使われます。

ラムの製造方法

搾汁

サトウキビの茎を20~30cm程度に切断し、圧搾することでジュースを抽出します。

…さて、早速ここから製造方法が分岐します。
サトウキビジュースをどのように使うか、によって大きく3つの製造方法に分かれます。

・アグリコール法

サトウキビジュースをそのまま使う方法です。
一番わかりやすい製造方法ですが、比較的新しい製造方法でもあります。

この方法で造るラムを「アグリコールラム」と呼びます。
生産量ベースで数%程度しか製造されていない珍しいラムです。

・トラディショナル法

サトウキビジュースから一部の糖分を結晶化させて「砂糖」を得ます。
残った液体が結晶化しない糖分(モラセス)です。

このモラセスを次の発酵工程に使用するのがこの製造方法です。
名前の通り、伝統的なつくり方と言えます。

この方法で造るラムを「トラディショナルラム」と呼びます。
現在、トラディショナルラムがかなりの割合を占めています。

・ハイテストモラセス法

サトウキビジュースを濃縮してシロップにします。
そのシロップを発酵に使う方法です。

発酵に使用する際は酵母が生存できるよう薄めるため、なぜわざわざ濃縮するのか…という疑問もあるかと思いますが、その答えは「保存性を高めるため」です。

発酵

搾汁工程で得られた液に酵母を添加することでアルコール発酵をさせ、糖からエタノールと炭酸ガスを生成します。
発酵後のアルコール濃度は10%未満です。

発酵期間は酵母や発行条件によって大きく異なりますが、3~4日が平均的です。

使用される酵母も様々ですが、単にアルコール発酵が旺盛な酵母というよりは、エステルや高級アルコールなど香気成分を多く生成する酵母が好まれることが多いようです。

蒸留

連続式蒸留器や単式蒸留器を用いて、発酵液を蒸留してアルコールを分離し濃度を高めていきます。

「連続式蒸留器」はその名の通り、連続して蒸留を行う設備であり、すっきりとした味わいに仕上がります。
一方、「単式蒸留器」はこれまたその名の通り、一回のみ蒸留を行う設備で、精製度は低くなりますが原料や発酵でついた香味をある程度残すことができるのが特徴です。
どのような設備を使うか、ということも製品の特長に大きく関わるため、各蒸留所のこだわりも知ることができます。

熟成

蒸留後の液をタンクや樽に入れて貯蔵することで味を整えていきます

この熟成期間によって後述する「ラムの種類」が分かれます。
基本的には、短期間の熟成ではあっさりとして飲みやすいラムになり、長期間熟成させると強い甘味と特徴の味を持つラムになります。

また、熟成を行う容器を、木樽にするかしないか、内面を焦がすか、などによっても香味が大きく変わってきます。この違いについても後程の「ラムの種類」でご紹介します。

ラムの種類

様々なラム

製造方法による分類

〇ライト・ラム

糖蜜に水を加えたものを酵母により発酵させ、蒸留した後にオーク樽などで短期間熟成させた後に活性炭でろ過して仕上げたラム。

〇ヘビー・ラム

糖蜜を自然発酵させて蒸留したあとに、オーク樽で長期間熟成させたラム。
甘い香味が特徴的。

〇ミディアム・ラム

ライト・ラムとヘビー・ラムのいずれかの製法を用いて作られるか、両者をブレンドして造られた中間的な特徴のラム。

色合いによる分類

〇ホワイト・ラム

無色透明のラム。
ステンレスタンクで1年未満熟成させ、活性炭でろ過して仕上げたラムです。
クセが少なく、カクテルによく使われます。

製造量としては最も多いです。

別名:シルバーラム

〇ゴールド・ラム

淡い琥珀色のラム。

木樽で数か月~3年の熟成をおこなったラムです。
まろやかな味わいが特徴で、蒸留所によって味の違いが大きいので、違いを楽しむことができます。

別名:アンバーラム

〇ダーク・ラム

木樽で3年以上熟成して造られる濃い褐色をした風味豊かなラム。
樽の内面を焦がされており、カラメルのような独特の甘さと香り香味がつきます。

ラム本来の味を味わうために、ストレートで飲みたいラムです。

ダークラム

ここで少しだけ余談。

ラムについて聞いたり調べたりしたことがある方なら抱く疑問…
「製造方法や種類が、なんかあやふや…」

その通りです。

実際のところ、ラムは明確な製造方法が定義されていません。

サトウキビを原料にした蒸留酒”というのがラムのアイデンティティであり、それ以外の製造方法や分類など小さなこと…

…と言わんばかりの懐の広さを持っているお酒が「ラム」なのです。

さらにさらに、飲むだけでなくお菓子作りにも使われるなど、用途に関しても懐が深い!

…脱帽です。

ラムの代表銘柄

ホワイトラムの代表銘柄

■バカルディ スペリオール ホワイト

バカルディの看板銘柄!ラムベースのカクテルにピッタリのホワイトラム。アメリカンオーク樽で1~1年半熟成させた後に活性炭によりろ過を行うことで、クリアな見た目とスムースで甘い味わいを両立させています。全体的な仕上がりとしてはライトボディでドライなテイスト、ほのかに感じるライムやバナナを思わせる香り、甘味と酸味のバランスが素晴らしいラムです。

■マイヤーズラム プラチナホワイト

熟成したマイヤーズラムを活性炭で丁寧にろ過した、フルーティーな香りとスムースな口当たりが特徴のホワイトラムです。ライトながら、マイヤーズ独特の豊かな香りと苦みの少なくまろやかな甘味という特徴をしっかり感じさせる仕上がり。トニックウォーターやコーラなど甘い割材との相性が良いので、カクテルベースとして優秀なラムです。

■アプルトン ホワイト

1749年に創業されたジャマイカで最も歴史のあるラムメーカー「アプルトン」が製造するホワイトラム。同社はラムの原料であるサトウキビの栽培から自社で行うというこだわりを持っています。アプルトン ホワイトは同社社独自の小規模なポットスチル(単式蒸留器)で丁寧に蒸留して造られます。クリアでさわやかな味わいに仕上がっており、様々なカクテルベースに合うオールラウンダーな銘柄です。

ゴールドラムの代表銘柄

■キャプテンモルガン スパイストラム

17世紀にカリブ海をはじめ世界中にその名を轟かせたヘンリー・モルガン船長がデザインされている、いわゆる「ラムらしい」ゴールドラムです。トロピカルでフルーティーな香りにスパイスが効いた味わい、隠し味に加えられたバニラの甘いフレーバーが特徴的なユニークな仕上がり。特徴的な香味を持ちながらも、なめらかですっきりとした口当たりは、ラム初心者にもおススメしたい、とても飲みやすいミディアムな風味を持つラムです。

■バカルディ ゴールド

バカルディラム原酒をオーク樽で2~3年熟成させたゴールドラム。熟成による厚みのある味わいと、バカルディらしいスムースな後味が特徴的。バカルディをコーラで割るカクテル「キューバブレ」のオリジナルレシピに使用されていることで有名ですが、オンザロックで飲んでも美味しいゴールドラムです。

■ロンリコ ゴールド

1860年に設立された歴史あるプエルトリコのラムメーカー「ロンリコ社」が造る正統派ゴールドラムです。ホワイトオーク樽で熟成することにより生まれた濃厚で芳醇なコクを感じることができる、まろやかな味わいのミディアムタイプのラムに仕上がっています。シンプルにコーラやフルーツジュースで割るだけで美味しい万能なラムです。

ダークラムの代表銘柄

■マイヤーズ オリジナルダークラム

140年以上の歴史を持つ「マイヤーズラム」ブランドのジャマイカ産本格派ダークラム。長期間熟成させることによる芳醇で華やかな香りが特徴的。まろやかでクセがなく、飲みやすい味わいはダークラム初心者にもおススメです。また、マイヤーズブランドならではの豊かな香りは洋菓子との相性も良く、洋菓子材料としても活躍しています。

■ロンサカパ 23

海抜2300メートル…天国に一番近い蒸留所で造られるダークラム。6~23年という長期間「ソレラ・システム」という熟成工程で熟成したラムをブレンドして造られます。蜂蜜やバタースコッチ、バニラの甘い香り、ジンジャーとシナモンのスパイシーさ、オーク樽の風味、など非常に複雑で繊細な香りが特徴的なダークラムに仕上がっています。是非ロックで楽しんでいただきたい逸品です。

■パンペロ アニバサリオ

ベネズエラ産高級サトウキビを使用して造られるダークラム。ドライフルーツやチョコレート、シナモンなどのアロマが絡み合った複雑な香り、力強くなめらかな味わいに仕上がっており、甘口のラムが好きな方におススメしたい逸品。革袋に入れられているのでプレゼントにも適しています。

ここでは代表的な銘柄を紹介しましたが、プレゼントにおススメのラム酒銘柄を以下の記事で紹介していますので、よかったらご覧ください!

まとめ

ラムとは
サトウキビを原料にした甘味が特徴的なお酒!

熟成方法や期間によって、味や見た目が変わり、いろんな種類がある!

以上!