【日本酒とは…】日本酒の定義・専門用語・原料・製造方法・種類を一挙解説!

こんばんは。猫田です。

日本のお酒、「日本酒」についてどれだけ知っていますか?
海外に友人ができることが珍しくないこの時代、自分が住んでいる国のことは語れるようになっておきたいですよね。

そこでこの記事では、日本のお酒「日本酒」について
・日本酒の定義
・日本酒の原料
・日本酒の製造方法
・日本酒の種類
についてわかりやすく解説していきます。

「ひやおろしとは?」「日本酒度とは?」「一合の量は?」など、よくある疑問に対しても解説していますので、ぜひご覧ください。

日本酒とは…

お猪口に入った日本酒の画像

日本酒の定義

日本酒は醸造酒に分類されるお酒です。

日本酒は日本のお酒である以上、酒税法における定義を抑えておけば問題ありません。
酒税法において日本酒は「清酒」として記載されています。

簡単に要約すると、
“米を原料に、「こす」という工程を実施したアルコール度数22%未満の醸造酒”
です。

原文は以下の通りです。

清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう。
イ) 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ) 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(米こうじを含む。)の重量の100分の50を超えないものに限る。)
 ハ) 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

引用元:酒税法第3条第7号

清酒の定義に登場する「こす」という用語も定義されており、

“酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離する全ての行為”

酒税法令解釈通達第3条第11号

とされています。

法律上の定義にもある通り、日本酒のアルコール度数は22%未満である必要があり、多くの日本酒は15%前後のものが多いです。

日本酒の保存方法

日本酒を保存する際には、光と温度に気を付けて早めに飲んでください。
日光や蛍光灯の光に含まれる紫外線が日本酒の成分を劣化させるため、新聞紙などで瓶を包むとよいでしょう。

温度については、基本的に冷蔵庫で保存しておけば問題ありません。
厳密には日本酒の種類によって適切な温度が異なりますが、5~10℃程度で保存するようにすればOKです。

日本酒のカクテル

そのまま飲むことが多い日本酒ですが、日本酒を使ったカクテルも存在します。

日本酒のカクテルについては、こちらの記事で紹介しています。

日本酒そのものはあまり好みではない方にもお勧めできる飲みやすいカクテルが多いですよ。

日本酒の専門用語

日本酒の用語解説

日本酒を解説する中で、多くの専門用語が登場します。
最初にそれらを理解しておかないと、話がよく入ってこない…
という状態になってしまいますので、ここで解説しておきます。

精米歩合とは…

「精米」とは、玄米の表層(糠)を削り、白いお米にすることを指します。
この精米で「米の表面を削り、何%を残したか」、を精米歩合と言います。

削った割合か残した割合か、迷ってしまうことが多いのですが、残した割合です。
数字が低いほど、多くの部分を削り、ぜいたくに使っているといえるでしょう。

ちなみに、食用米の精米歩合は約90%です。

そもそも「なぜ米の表層を削るのか」という疑問もあるかと思います。

米の表層部分には、タンパク質や脂質、でんぷんなどの栄養素が含まれています。ある程度は日本酒の製造に必要なのですが、多すぎると雑味の原因となります。また、発酵により生成される香りをマスクしてしまうという特徴があります。

そのため、日本酒造りには精米という工程が欠かせないのです。

一方で、削れば削るほど良い、というわけでもありません。
精米歩合が高い(あまり削っていない)場合、米のうまみやコクが残り、どっしりとした味わいになります。
いわゆる「日本酒らしさ」が強く残るお酒になるのです。
このように、どの程度の精米歩合とするのかは、どのような日本酒にしたいか、によって決めていきます。

火入れとは…

「酵母」を殺菌し発酵を止めるため、「火落菌」と呼ばれる乳酸菌群の殺菌のため、日本酒に残った酵素を失活させて酒質を安定させるため、という3つの目的で行われる加熱処理のことです。

基本的に火入れは、貯蔵前と出荷前の2回行います。

直接火にかけるわけではなく、プレートヒーターと呼ばれる熱交換器を使用したり、充填後の瓶を湯せんするなどの方法で60~65℃程度まで加熱することが一般的です。

この火入れをするかしないかで日本酒の種類が変わります。
この種類についてはこの記事の後半で説明します。

醸造アルコールとは…

主に、サトウキビを原料として発酵させて蒸留した純度の高いアルコールを指します。
味はほとんどなくクリアなアルコールの味です。

この醸造アルコールを使うかどうかで日本酒の種類が変わります。
この種類についてはこの記事の後半で説明します。

吟醸造りとは…

吟醸造りとは、”よく磨いたお米を通常よりも低い温度(10℃前後)で長時間(1ヶ月程度)発酵させる方法”です。

低温で発酵させることにより、発酵中に発生する「吟醸香」と呼ばれるフルーティーで華やかな香りが多く生成され、もろみ中に閉じ込めることができます。

日本酒度とは…

日本酒度とは“日本酒の比重を表す単位”を指します。
比重によって日本酒に含まれる「糖分」を比較することができます

+2.0や-3.0などプラスとマイナスの数値で表記されていますが、マイナスになるほど糖分含有量が多く甘口に、プラスになるほど糖分が少なく辛口になります。

目安として、±3.0を超えると辛口(または甘口)の特徴がよく出て、±6.0を超えるものはその特徴が強く出るといえます。かなり辛口の日本酒だと+20、甘口の日本酒で-60のものがあります。

一升・一合とは…

この解説はシンプルに、「一升は1.8L」「一合は180ml」です。

日本酒の原料

升に入った米

日本酒の原料となる米は「酒米(酒造好適米)」と呼ばれます。

一般的な食用の米と比べ、
・粒がやや大きい
・心白と呼ばれる粒の中心にあるでんぷんを多く含んだ部分がある
・タンパク質や脂質の含有量が少ない
といった特徴があります。

酒米の銘柄として有名なのは「山田錦」でしょう。
酒米として全国一の生産量を誇る兵庫県で生産される米です。
全国各地で多種多様な銘柄の酒米が生産されていますが、食用の米とは銘柄が異なる米が使用されます。

米麹

まず、「麹」とは
「麹菌」と呼ばれるカビの一種を、米や麦、大豆といった穀物で繁殖させたもの”
をいいます。

醤油や味噌なども、麹を原料にしています。
日本酒では、米で麹菌を繁殖させた「米麹」を使います。

日本酒造りにおける米麹の役割とは、「でんぷんを分解し糖を生成する」ことです。
その糖を「酵母」が使い、アルコールを生成します。

また米麹は、でんぷん分解の他に「タンパク質を分解しアミノ酸を生成する」役割も果たし、それによりできたアミノ酸は、酵母の栄養となるほか、うま味やコクのもとになります。

…さてさて、少しややこしくなりますが「酵母」がでてきましたね。

日本酒の原料は酒税法にならい、あくまで「米、米麹、水、醸造アルコール」としましたが、日本酒製造において「酵母」も非常に重要な役割を果たします。

まず、麹菌と酵母は別の微生物です。
麹菌は、Aspergillus oryzaeという糸状の真菌類
酵母は、Saccharomyces cerevisiaeという球形の真菌類

日本酒造りにおける役割も違います。
麹菌は、米に含まれるデンプンと糖に分解する
酵母菌は、糖を使用してアルコールと炭酸ガスを生成する

このように日本酒を造るうえで、麹菌、酵母それぞれの存在が不可欠なのです。

日本酒造りに水は欠かせません。
日本酒の製造工程で使用される水は「仕込み水」と呼ばれます。

使用される水は、醸造所や地域ごとに様々ですが、一般的にはミネラル(カリウム、リン、マグネシウムなど)をある程度含み、鉄分などがあまり含まれていない水が好まれます。

ミネラル分が多い硬水で造る日本酒はキレのある味、ミネラル分が少ない軟水で造る日本酒は優しくまろやかな味わいになるとされています。

(醸造アルコール)

醸造アルコールは純度が90%以上もあるアルコールですが、清酒に添加する際には30%程度に調整されます。
この醸造アルコールはほとんど香りや味がないため、日本酒の風味を邪魔することなく添加することができます。

「雑味を抑えて飲み口をすっきりとさせる」「フルーティーな吟醸香を際立たせる」という目的で添加されます。

また、昔は日本酒の製造中に雑菌やカビが生じてしまうことを防ぐという目的で使用されていましたが、衛生管理技術が向上した今ではこの目的はあまり重要ではなく、主に先に述べた香味上の目的で使用されています。

醸造アルコールはすべての日本酒で使用されているわけではなく、後程説明する日本酒の分類に関係します。

日本酒の製造方法

精米

米の外側にある脂質やタンパク質を取り除くため、酒米を磨いていきます。
ここでどの程度削りどの程度残すか、を「精米歩合」と言います。

精米した米を水で洗い、さらに水に浸して水分を含ませた後、大きな窯で蒸していきます。

製麹(麹造り)

蒸米に麹菌を植えて米麹を造ります。
約2日間培養することで、麹の中で酵素を生成させます。

酒母造り

蒸米、水、麹に酵母を加え、酵母を大量に増殖させた酒母を造ります。

仕込み(醪造り)

酒母に蒸米、麹、水を加えて醪(もろみ)を造ります。
蒸米・麹・仕込み水の投入を3回に分ける「三段仕込み」と呼ばれる方法が一般的です。

ここで、麹による糖化と、酵母による発酵が同時に行われます
このように糖化と発酵を同時に行うお酒は「並行複発酵酒」に分類されます。

お酒全般の分類についてはこちらの記事をご覧ください。
発酵期間はばらつきがありますが、20日~30日程度と長い時間がかかります。

上槽(圧搾)・滓引き・ろ過

もろみを圧搾機により搾り、液体部分と固形部分(酒粕)に分離します。
このうち液体部分は「新酒」と呼ばれます。

さらに、不溶性のタンパク質やでんぷん等を沈殿させる滓引を行います。

その後、ろ過を行うことで清澄な液体を得ます。

火入れ(1回目)・貯蔵

貯蔵前の火入れとして、熱交換器を使用して加熱します。

その後、タンク内で半年~1年間貯蔵し熟成させます。

割水・充填・火入れ(2回目)

仕込み水を加えてアルコール度数の調整をします。

その後、日本酒を瓶やパックに酒を詰めます。

充填後に火入れを行う場合は瓶を湯せんし加熱します。

出荷

ここまでの長い期間を経てようやく出荷することができます。

工程の順序など細かい部分は醸造所ごとに違いがありますが、非常に多くの工程、長い期間を経て造られるものだということがお分かりいただけたかと思います。

日本酒の種類

日本酒とお猪口

日本酒の種類はとても多く、複雑に感じると思います。
しかし、よく見てみるとしっかりと論理的に分けられているので一度理解すればとても簡単です。

では解説していきます。

まず、最も大きな分類として「普通酒」と「特定名称酒」とに分けられます。
流通量では、普通酒が7割、特定名称酒が3割程度です。

普通酒

特定名称酒に該当しない日本酒です。

醸造アルコールの使用量が高く、精米歩合も高い傾向にあります。

特定名称酒

原料や精米歩合など一定の条件を満たす日本酒が該当します。
「特定名称酒」は「本醸造酒タイプ」と「純米酒タイプ」の2種類に分けられます。

本醸造酒タイプ

米、米麹、水の他に「醸造アルコール」を原料に使用した日本酒。
きりっとして香り高い風味が特徴です。

さらに、精米歩合と製造方法によって以下の通り名前が付きます。

・本醸造酒  :精米歩合が70%以下。
・特別本醸造酒:精米歩合が60%以下。
・吟醸酒   :精米歩合が60%以下。「吟醸造り」という製法で造られる。
・大吟醸酒  :精米歩合が50%以下。「吟醸造り」という製法で造られる。

純米酒タイプ

米、米麹、水のみを原料として使用した日本酒。
醸造アルコールが添加されていないことが、本醸造タイプとの違いです。

米のおいしさを最も引き出すことができる日本酒と言えるでしょう。
米のうま味を活かした芳醇な飲み口が特徴です。

本醸造酒と同じように、精米歩合と製造方法によって以下の通り名前が付きます。

・純米酒   :精米歩合が70%以下。
・特別純米酒 :精米歩合が60%以下。
・純米吟醸酒 :精米歩合が60%以下。「吟醸造り」という製法で造られる。
・純米大吟醸 :精米歩合が50%以下。「吟醸造り」という製法で造られる。

その他の分類

その他の分類方法として、製造工程の「火入れ」の有無による分類があるので紹介します。
通常の日本酒は、貯蔵前に1回、出荷前に1回、合計2回の火入れを行います。

この火入れを行うかどうか、どのタイミングで行われるか、によって名称が変わります。

・通常の日本酒 :貯蔵前・出荷前の両方火入れを行う
・生貯蔵    :出荷前のみ火入れを行う
・生詰     :貯蔵前のみ火入れを行う
・生酒     :火入れを行わない

※ちなみに日本酒のラベルで目にする「ひやおろし」は、「生詰」に該当します。

冬にしぼられた新酒を春先に火入れをして貯蔵します。夏を越して、気温が下がり貯蔵庫と温度差が小さくなった頃に、二度目の火入れを行わない「常温(冷や)」のまま「卸して」出荷したことから、このような名前がつけられました。

つまり「ひやおろし」とは秋にしか飲めないお酒なのです。

まとめ

日本酒とは、“米を原料に、「こす」という工程を実施したアルコール度数22%未満の醸造酒”。

日本酒の原料は、米・米麹・水・醸造アルコール。

日本酒は、「特定名称酒」とそれ以外の「普通酒」に分類される。

特定名称酒はさらに、「本醸造タイプ」と「純米タイプ」に分けられる。
さらにさらに、精米歩合と吟醸造りをしているかによって以下の通り分類される。

本醸造酒・特別本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒
純米酒・特別純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒

非常に複雑!だが奥深い!