名前の認知度は高いのに、どんなものか意外と知られていないお酒…
ベルモット(Vermouth)
某名探偵アニメのキャラクターの名前(コードネーム)でもあり、その本人も「a secret makes a woman woman…(女は秘密を着飾って美しくなる)」というセリフを残しています。
しかし、子供から「ベルモットって何?」と聞かれたときに答えられないのは恥ずかしい…
そこでこの記事では、お酒「ベルモット」について
・定義と特徴
・主な種類
・飲み方
を解説していきます。
また代表的な銘柄についても最後に紹介していますので、気になったものがありましたら是非試してみてくださいね。
■筆者「猫田」について
・某ビール会社で生産管理の業務に携わっていました。
・趣味はお酒を飲むこと、バー巡り、カクテルづくり。
・特に好きなお酒はジンです。
・お酒の情報に特化したブログ「猫田の酒ブログ」を運営。
ベルモットの定義と特徴
ベルモットはフレーバードワインの一種です。
白ワインを主体として、ハーブ(香草)やスパイスにより香味づけをされてつくられるお酒です。
香味づけに使用されるハーブやスパイスには、ニガヨモギをはじめ、コリアンダーやナツメグ、シナモンなど数種類~数十種類が使用されます。
アルコール度数は14~20%。
日本の酒税法上では「甘味果実酒」に分類されます。
細かな定義は省略しますが、主に“果実酒に植物を浸してその成分を浸出させたもの”に該当します。
主な産地はイタリアとフランス。
ベルモットの名前は、植物のニガヨモギを表すドイツ語「Wermut(ヴェルムト)」に由来しています。
似ているお酒に“シェリー”があります。
どちらもワインをベースにすることが共通していますが、ベルモットは香草などを用いて香りづけを行うのに対し、シェリーはアルコール度数や糖度を高めてつくられるフォーティファイドワインになります。
ベルモットの種類
ベルモットは「ドライ・ベルモット」と「スイート・ベルモット」に大別されます。
はじめてベルモットを購入する方は、つくりたいカクテルによってどちらか選ぶ必要がありますが、ストレートやロックで飲みたい場合はスイート・ベルモットを選ぶのがおすすめです。
ドライ・ベルモット
甘さも香りも控えめにつくられた辛口のベルモットです。
「フレンチ・ベルモット」とも呼ばれます。
ベルモットの2大産地はイタリアとフランスであり、フランスは辛口のベルモットが有名なことに由来します。
ドライ・ベルモットは、そのまま飲むよりもカクテルの材料として使用するのが一般的です。
マティーニやマンハッタンなど人気のカクテルの材料にもなっているため、バーには必ず置いてあるお酒です。
スイート・ベルモット
名前の通り甘味の強いベルモットです。
「イタリアン・ベルモット」とも呼ばれます。ベルモットの2大産地はイタリアとフランスであり、イタリアは甘口のベルモットが有名なことに由来します。
赤い色合いの「ロッソ」、色のない「ビアンコ」。ロッソの方が、香味が強いことが多く、ビアンコは控えめな味わいのものが多くなっています。
スイート・ベルモットもドライ・ベルモット同様にカクテルの材料にも使用されますが、そのものの風味が強いのでストレートやロックで楽しむスタイルにも適しています。
ベルモットの飲み方
ベルモットは、カクテルの材料として用いられることが多い他、食前酒としてストレートで飲まれることも多いお酒です。
食前酒としてベルモットをストレートで飲むことで、独特な香りとアルコールで食欲を増進してくれる働きがあるとされています。ヨーロッパを中心に食前酒として人気があります。
一方、様々なカクテルの材料として用いられます。
辛口のドライマティーニを使用したカクテルが「マティーニ」。
“カクテルの王様”と呼ばれるカクテルです。
ドライジンとドライ・ベルモットをシェークしオリーブを飾ったショートカクテルです。
甘口のスイート・ベルモットを使用したカクテルが「マンハッタン」。
“カクテルの女王”と呼ばれるカクテルです。
ウイスキーとスイート・ベルモットにアンゴスチェラビターズを加えてステアし、砂糖漬けのチェリーを飾ったショートカクテルです。
その他にも、食前酒としてのカクテル「ネグローニ」も人気のあるカクテルです。
ドライジンにスイート・ベルモット、カンパリをビルドしてつくられる甘さと苦さがクセになるカクテルです。
ベルモットの代表銘柄
ベルモットの有名な銘柄は、フランスの「ノイリー・プラット」、イタリアの「チンザノ」「マルティーニ」。
それぞれドライ・ベルモット、スイート・ベルモットを製造しておりますので、まずはその中から選ぶのが無難でしょう。
この記事では、その3ブランドを中心に紹介します。
ドライ・ベルモットの代表銘柄
ノイリー・プラット ドライ
ドライ・ベルモットを代表する、しっかり辛口のフランス産ドライ・ベルモットです。
バーや高級レストランで必ずと言っていいほど置いてあるベルモットの代表銘柄。
上品な香りは高級クリームソースにも使用されることもあり、非常に幅広い人気があります。
ナツメグをはじめとしたスパイスの辛さとオレンジピールの苦味がしっかりと混ざり合った辛口のドライ・ベルモットであり、マティーニなどのカクテルにぴったりの味わいです。
チンザノ ベルモット エクストラドライ
白ワインの風味がしっかり感じられる、イタリア産ドライ・ベルモットです。
バーテンダー御用達の一本。
カクテルの材料としてはもちろん、白ワイン本来の風味がしっかりと感じられるため、冷やしてロックやストレートで飲んでも楽しむことができるドライ・ベルモットになっています。
カクテルの材料として使用した場合は、風味豊かな味わいを楽しむことができます。
マルティーニ エクストラドライ
ブドウの香りに柑橘類の爽やかな香りが混ざり合った、すっきりとした辛口のイタリア産ドライ・ベルモットです。
各国の王室や団体から数々の賞やメダルを授与されている実績ある銘柄です。
酸味とほろ苦い味わい、爽やかなフルーティな香りがしっかりと感じられる仕上がりになっています。
スイート・ベルモットの代表銘柄
ノイリー・プラット スイート
甘口のフランス産スイート・ベルモットです。
甘さだけでなくココア由来の苦みが特徴的で、ストレートやロックで楽しむのがおすすめです。
食前酒としても楽しめますが、しっかりとした甘味があるためデザートドリンクとしても楽しむことができます。
チンザノ ベルモット ロッソ
カラメルで着色された深い琥珀色のイタリア産スイート・ベルモット。
しっかりとした甘味がありながら、フィニッシュはスパイシーな苦みを感じる深みのある味わいに仕上がっています。
マルティーニ ベルモット ビアンコ
初心者も飲みやすい味わいのスイート・ベルモット。
苦味も抑えられており、優しい柑橘類の香りが特徴的です。
カルパノ アンティカ フォーミュラ
「キング・オブ・ベルモット」とも呼ばれる歴史ある銘柄です。
1786年以来、受け継がれてきたレシピを使用して造られるプレミアムなイタリア産スイート・ベルモットです。
オレンジ・サフランが白ワインに混ざり合い、甘味と苦味が合わさった深みのある味わいになっています。ニガヨモギにバニラやドライフルーツ、アーモンドなどの芳醇な香りが特徴的です。
まとめ
ベルモットとは、白ワインを主体にハーブ(香草)やスパイスを配合してつくられるフレーバードワイン。
食前酒としてストレートで飲まれる他、マティーニなど様々なカクテルの材料として使用されるお酒です。
辛口のドライ・ベルモットと甘口のスイート・ベルモットに大別されます。
有名なブランドは、フランスの「ノイリー・プラット」、イタリアの「チンザノ」「マルティーニ」。
ワインについてはこちらで解説しています。
コナンに登場するお酒(コードネーム)はこちらの記事で解説しています。